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未在代表 松舘 敏

「PMS(月経前症候群)」 ~先人に学ぶ シリーズ 2~

更新日:2023年6月4日


 オステオパシー(医学)の「病因」の基礎的考え方に「構造(解剖)は機能(生理)を支配する」といった哲学がある。

 

 オステオパシー治療は、この構造の病変(オステオパシー病変)を施術で健全化することにより、機能(生理)を正常化し、病の治癒や症状の寛解を促していく。


その為、人体構造(解剖学)そして身体機能(生理学)の詳細な知識が求められる。そして更に、その構造体を触診できる技術とともに、構造体の「正常な位置」「正常な硬さ」「正常な動き」を診る治療者の「感性」が求められる。


そして感性に加え、「病」が発症するにあたっての「構造体の偏移・変化のプロセス」の知識を背景に置き、身体の構造を診ていくことが必要となる。



以下に、先人の先生方から学び得た「知識」を記録に残します。

 


PMS(月経前症候群)について



PMS(月経前症候群)もオステオパシー(医学)治療の対象です。


PMSの治療を行う際に検査すべき身体構造は以下の4組織は必須と考えます。


1)内臓  2)骨盤、腰椎  3)脳  4)硬膜



各組織の説明


1)内臓


子宮/卵巣の位置、傾き、そして動き。月経は左右の卵巣が交互に排卵します。

排卵する側の卵巣は動きが小さくなりますが、全く動かないと問題となります。

子宮は、排卵側の卵巣へ傾きます。自然な動きですが、傾斜しても中心軸に戻らなければ問題となります。これらの内臓組織の動きが、内臓それ自体に由来しているのか、もしくは他の系統に由来しているのか触診検査を行います。


2)骨盤、腰椎


子宮が緊張すると、仙骨を後面から前方に押した時に前にズブズブ入って元の位置に戻りにくくなります。腰椎3~5番は特に卵巣、子宮に末梢神経として関係しています。

腹部の痛みが臍(胸椎10番)、恥骨の上際(胸椎11番)の場合、肋間神経痛を考える必要があります。


3)脳


脳が中心軸を軌道に動いていないと自律神経の最高中枢である視床下部が機能していない事が考えられます。その場合、視床下部から脳下垂体(ホルモンの最高中枢)への指令も機能低下しがちとなります。


4)硬膜


特に小脳テント(下図)を触診検査します。大脳と小脳を隔てる硬膜で前方で脳下垂体を覆っています。



耳→側頭骨→小脳テント→脳下垂体と言う連続体で耳を左右に引っ張り、緊張度が左右で異なっていると脳下垂体が正中線上にありませんので、下垂体が上手く機能しません。

脳下垂体には、月経周期に関係する性腺刺激ホルモンと黄体刺激ホルモンが分泌されて、

子宮、卵巣から女性ホルモンや妊娠を継続させるための黄体ホルモンが分泌されて、月経周期が決定します。



以上の4組織の要素が相互作用してPMSを起こしますので、触診検査が必須となります。



そして、「お腹が重い」「お腹が痛い」という訴えをされる方はどこが痛いのかを念入りに確認します。

上述したように下腹部ではなく、お臍の高さで重さや痛みを訴える方は、肋間神経痛の場合も考えられます。

胸椎の7~11番のどこかに固着があると、月経が引き金になって胸椎の固着しているところから臍に向かってグルッと前面に出てくる肋間神経痛の場合が多々あります。


ただし、これ以外にも原因となる可能性もあります。よって、他にも可能性が無いのかを常に頭に入れて(背景に置き)全身触診検査を行うことが重要となります。



2023年06月03日(土)

未在代表 松舘 敏

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