「頭の中がスッキリしない」を主訴に、ご相談があった方に対し、アドバイスさせていただいた内容をご紹介したいと思います。
人体の「体内時計」には大きな枠組では“2つ”あります。
1つは「脳の中の体内時計」、もう一つは「内臓機能としての体内時計」です。それぞれ、人体の働きの中で目的役割は幾分ことなりますが、人体機能のリズムを司っている点では共通します。
まず「内臓機能としての体内時計」の主たるものは「消化器系」です。その中でも特に「胃・腸」が重要となります。特に「腸」は「免疫系」「栄養吸収」「血液成分」「自律神経機能」「体内の見張り役(第2の脳)」など重要な臓器になります。
A様の体調不良の原因となっているのは、この2つの体内時計に関わる、「睡眠の問題」「腸内環境の問題」が大きいと考えています。この大きな2つの問題(原因)から体内恒常性のバランスが崩れ、悪循環に陥り、いろいろな不調感・症状が出ていることが考えられます。この2つの問題を、少しずつで構いませんので整えていきたいですね。
今日は、「睡眠の問題」に対する取り組み方をご紹介します。
「朝すっきり起きられず、だるい……」「朝から体が重く、やる気が出ない……」
このような日は、日中の生活や仕事、勉強もなかなか捗らないものですよね。なんだか頭がスッキリしないまま、1日を終えた経験のある方も多いと思います。
「最近、頭が働かない…」という方は注意しましょう。「朝」は脳の活動維持の原点になります。
「頭が働かない」のは、脳機能そのものが低下していることのほかに、単に “脳の活動が安定していない” ことに原因がある場合も少なくありません。
そういう方の多くは、生活リズムに問題が考えられます。中でも、「朝」の過ごし方に問題を抱えていることが多いかも知れません。
朝、ある程度一定の時間に起き、太陽の光を浴びる。 脳がもっとも活発に活動する時間帯に仕事のピークを合わせ、 夜はできるだけ早く寝る。そうやって生活のリズムを安定させると、 脳の活動も安定してきます。 それが誰にとっても、まず重要なことです。
脳の活動を維持するための原点は「朝」にあります。
朝の目覚めが悪くなってしまうのはなぜでしょうか。必ず何らかの原因が考えられます。
例えば、太陽光を浴びる。そのことで脳内に「セロトニン」が分泌され、目覚めのスイッチを押すことになります。
セロトニンは、朝の心地よい目覚めをもたらし、心をポジティブにし、自律神経を整え、姿勢や顔の表情を引き締め、身体の痛みを調整する、といった健康的な生活に欠かせない働きをします。
そして、セロトニン分泌には、目の網膜を通して太陽光の刺激を受けることが大切です。
ですから、朝に布団の中でいつまでもゴロゴロするのは控えたほうがよいですね。
朝が苦手な人にとっては至福の時間かもしれませんが、その後のことを考えると、明らかにしないほうがよいですね。
同じ理由から、暗い部屋での二度寝もよくないそうです。
目覚めの悪さから、「ポットのお湯が沸くまで座って待とう」といったように、ほんの一瞬でも座ってしまうのはよろしくないようです。
立っているだけでも脳のメインスイッチである脳幹網様体が刺激されて脳全体の活動が活発になるんですよね。
そして、朝の目覚めを良くするには、夜の過ごし方も重要です。
夕食後すぐに眠っても熟眠は得られないので、夕食は就寝1時間前、できれば3~4時間前までに済ませておくといいですよ。一方、空腹もダメです。飢餓状態の情報が脳幹網様体を通って大脳に伝えられると、意識の覚醒レベルを高めて睡眠を妨げてしまいます。
「寝る前に大脳に刺激を与えることを極力避ける」べきです。そのためには、夕食後はのんびり過ごすのが理想的です。夕食後は、仕事や今後のことについてはあまり深刻に考えず、オフモードでいた方がいいですよ。
目覚めのいい朝を迎えるために、一般的には「起床時間を統一する」「(目覚まし時計の)スヌーズ機能は使わない」「二度寝はしない」といったことが挙げられます。いざ取り組もうとすると難しいもんですよね。しかし実際には、明るい部屋での二度寝ならば大丈夫ですし、1回限定であればスヌーズ機能を問題ないそうです。そう考えれば心理的な負担は軽くなりますよね。
また、休日の寝だめについて、「平日より2時間以上寝続けてしまうと、体内時計が乱れて時差ボケのような状態になる」と言われます。しかし、見方を変えれば、2時間以内ならば、寝だめもOKとも言えます。休日に少しぐらい起床時間がずれたからといって、悲観することはないですね。
余談ですが、脳の「体内時計」は“記憶(思い出し作業)”に影響します。いわゆる「物忘れ」に影響があると脳科学研究で明らかになっています。
目覚めの悪い朝を終わらせるために、無理に変化を起こさなければいけないというわけではありません。軽い気持ちで、少しずつ自分を変えていきましょう。
このA様、私のアドバイス(生活リズムを整える)に努めてくれたかは定かではありませんが、頭蓋仙骨療法にて「一次呼吸リズム」を整えながら、主訴は軽減し、その後は思い出したように顔を見せてくれています。
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