オステオパシー治療に相談にみえる方の多い症状の一つに「自律神経失調症」が挙げられるとの事.
未在にも,これまで診療させていただいた中で,お一人「自律神経失調症」とドクターから診断を受けた方のご相談に対応した経験があります.その時も、そして現在も診断がついている場合は,その診断は臨床思考の背景に置き,身体構造の状態を診て,治療を行っていますので,診断名にはあまり重きを置いていませんでした.
然し,他のオステオパシー施術を業としている方々のブログ等を拝見させていただき,対峙する機会が多い事を知り,あらためて勉強させていただきました.
以下に、まとめてみましたのでご紹介いたします.
自律神経失調症.症状は各個人様々な容態が現れる.
「自律神経失調症」は,人間関係に悩んでいる方や勤務体系が厳しい職業の方,能力を問われる職種,成果・成績を問われる営業職の方を始め,多くの方が自覚することなく蝕まれていく症状.高齢の方や若い女性など幅広い層でも多くの方が病んでいる.現代では,勉強やスポーツの頑張り過ぎで,小学生/中学生/高校生にも多く見られ「起立性調節障害」として診断される子供も多い.
自律神経が乱れる原因も多種多様で,症状の根本原因をみつけて治療するのは非常に難しい.症状から推察し得る要因を治療しても,不調は良くならないことが多いことも特徴と言える.
「自律神経失調症」は,より的確な原因を診察し,正しい治療をすれば改善に向かう症状でもある.貴方の自律神経失調症の辛い症状が,いろいろな治療に取り組んでもいても,改善していないとしたら,原因の診察そして治療が間違っている可能性が考えられる.
一般的な原因として,病院などでは「うつ病」や「パニック障害」,「過敏性腸症候群」や「身体表現性障害」などが原因の病気とされることが多い.病気や症状の原因が特定できない場合でも,「ストレス」が誘因になっている可能性が高いため「適応障害」と診断される方もいる.要は,その原因が解らない事が多いため,「ストレス」とすることが多いと思われる.病院では,精密検査を行っても原因が見当たらないため『心の病』ということに,まとめてしまうと思われる.
「自律神経失調症」も,「何かしらの原因」で発症している訳ですから,「脳の病気」でも「心の病気」でもない可能性がある.
ですから,薬を処方されても,カウンセリングを受けても,自律神経失調症の改善が進まない訳である.薬は悪循環を止めるのには有効であるが,一時的に症状を抑えるだけの対処療法であり,根本治療ではない.
原因は別にあることが考えられる.原因を探し治療することが「本当の治療」となるのではないか.「自律神経失調症」の「根本原因」を見つける事ができれば,的確な治療が行え,克服することが出来ると考えられる.
「自律神経失調症」になる誘因として,精神的ストレスや過度の疲労からくるもの,パソコンなど仕事上の姿勢、日常生活(暴飲暴食、飲酒、喫煙 等)からくるもの,ムチウチなどの外傷からくるもの,身体の歪み,喘息や鼻炎から,呼吸から,…など,多くの事が起因してくる.
これらの誘因により,「自律神経失調症」の「症状」が出現し易くなる.しかし,これらも誘因であって根本原因とは云えない.「身体の症状」の原因であるから,「身体の機能不全、機能障害」の部位(器官,組織)は,「何か?」ということになる.
「自律神経失調症」の「根本原因」は「何か?」ということになれば….
「筋肉」「骨」「内臓」「神経」「血管」など,身体全体を一枚で包んでいる「膜(硬膜,筋膜,骨膜,心膜,胸膜,腹膜)」が,様々な誘因,要因によって「歪んだり」「硬くなる」ことで,病気では無い「身体の機能不全(=体性機能障害)」を引き起こすことが考えられる.
よく「筋膜のセーター」が例えられる.例)セーターを着用していて,腰の辺りが引っ掛かるとセーターは捻じれ,その対角方向,例えば肩周りが窮屈に感じた方も少なくないと思う.どこか一ヶ所,引っ張ったりひねったりすると,身体が窮屈になるのが解ると思う.そのような現象が,身体の中でも起きていると考えられる.
この窮屈な状態に,今まで説明してきた「誘因」が重なり,更に使い続けることで「器官-器官」間,「器官-組織」間の身体の調整範囲力(=バランス力)の限界を越え,自律神経に過剰な拘束や負担が発生することにより「身体の不調」(=「症状」)が起こることが考えられる.つまり,自律神経の乱れによる症状といっても,その原因が自律神経にあるという訳ではない.ということになる.
ある時は「甘い物の食べ過ぎ」で十二指腸が硬くなり,器官間膜が引っ張られて,自律神経に負担がかかったり.「ムチウチ」の影響で頭蓋骨が歪み,頭蓋神経孔で自律神経が拘束,また脳神経やホルモンへの支障から自律神経へ影響を及ぼし,結果「不調」「症状」が出現することも考えられる.また「食生活に伴う組織の変性」状態に「精神的なストレス」が重なり,動脈が硬くなり自律神経が乱れることも考えられる.(自律神経は動脈と並行するように身体内に張り巡らされており相互関係下にある)
自律神経は「交換神経」と「副交感神経」の「2つ」がある.「健康」を支えているのは,この「交感神経」と「副交感神経」がバランスよく調和し,働いているからである.す例)上記記述した「ムチウチ」(=「誘因」)により,首の筋肉の緊張(=「原因」)が起きると,交感神経が刺激され副交感神経の働きが低下し首の血流が阻害され,自律神経のバランスが崩れる.また,脳への血流も悪くなるため,脳内神経伝達の働きが低下し「うつ病」になる可能性も考えられる.「首の筋肉の過緊張」によって,交感神経が過剰に興奮し,「うつ病」や「自律神経失調症」などの病気になることは,医学的にも実証されている.
「自律神経失調症の原因」は多岐に渡る.そして「個別性」が非常に高いことも,ここまでの記述でお解りいただけるかと思う.
自律神経が働くためには「中枢神経系である脳」「栄養を吸収し器官間神経伝達物質を出す内臓」「脳からのホルモン放出機構」「それらを運ぶ血管」「免疫機能の一つであるリンパ管」も働かないといけない.
自律神経の調和を取り戻すには,「全身(脳、神経、脈管、内臓、筋肉、骨 等)」さらに現代では,「電磁波」の影響,「PM2.5」や「黄砂」,「過去のトラウマ」や「ストレス」による影響も,「自律神経失調症の原因」になっていることが示唆されており,それらを全て網羅し,原因の探索(診察)が重要となる.
幾人かのオステオパシー施術者の方の記述(知識),そして,ある方の記述(知識)を中心にまとめてみました.本当に皆様共通して,オステオパシーを学んでおられる方は非常に深く勉強されています.
当院(未在)も,一層学びに力を入れていきますので,今後ともよろしくお願いいたします.
未在では,その 肝となる部分「推察」と「探索(検査)」が当院の役割 とさえ,考えております.
「オステオパシー治療」が他の治療より岳輝のは「治療の75%が検査」「治療者のハイ・レベルな触診スキル」が背景にあります.
「自律神経失調症の原因」を検査していくと,ストレスによる器官の機能障害は勿論ですが,多くは肝臓,動脈などの内臓が関係したり,血管や骨の膜が捻じれることで悪化していたりします.
ですから「自律神経失調症の治療」は,不調(=「体性機能障害」)を現している「器官」「組織」からの「身体からのメッセージ」を「傾聴」し,筋骨格,内臓,脈管,頭蓋や脳のバランスを調整(=治療)していきます.
心も身体も健康でありますように願っております.
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