未在 -Clinics that live in science.- では「生きるを科学する診療所」として、
「健康でいること」をテーマに診療活動を行っています。
根本治癒にあたっては、病理であったり、真の原因部位(体性機能障害[SD])の特定
(検査)が重要なキー(鍵)であると考えています。
このような観点から、健康を阻害するメカニズムを日々勉強しています。
人の「健康」の仕組みは、巧で、非常に複雑で、科学が発達した現代医学においても未知な世界にあります。
以下に、最新の科学知見をご紹介します。
肝臓の中性脂肪合成を制御するGR-KLF15経路の発見
概要
食事から過剰に摂取された炭水化物は、エネルギー貯蔵物質である中性脂肪に変えられ、脂肪組織などに蓄えられます。炭水化物から中性脂肪への合成は食後に増加し、逆に空腹時には顕著に減少します。この合成経路が食事状況に応じてどのように調節されているのかについては、未知のことが多く残されていました。
内科学講座内分泌代謝学部門の武内謙憲客員研究員(筑波大学・助教)、矢作直也教授らは、以前に、転写因子KLF15を中心とする転写複合体が重要な役割を担い、中性脂肪合成経路全体の遺伝子の発現を制御するスイッチの働きをする転写因子SREBP-1の発現を空腹時に抑制することを見出していました(Cell Rep. 2016)。
今回、このKLF15のさらに上流の発現制御機構を探索する中で、糖質コルチコイド受容体(GR)の重要な役割を解明しました。
空腹時には視床下部-下垂体-副腎皮質経路(HPA axis)が活性化されるために血中の糖質コルチコイド濃度が上昇しますが、これがKLF15遺伝子周辺のエンハンサー領域上で糖質コルチコイド受容体(GR)と結合することでKLF15の発現誘導をもたらし、さらにそこからSREBP-1の発現抑制へと至る、GR-KLF15-SREBP-1経路が発見されました。
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