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健康を科学で紐解く シリーズ64 「98%の日本人が『ビタミンD不足』に該当、植物由来のビタミンDはほぼ検出されず」

更新日:2023年6月25日


未在 -Clinics that live in science.- では「生きるを科学する診療所」として、

「健康でいること」をテーマに診療活動を行っています。

根本治癒にあたっては、病理であったり、真の原因部位(体性機能障害[SD])の特定

(検査)が重要なキー(鍵)であると考えています。

このような観点から、健康を阻害するメカニズムを日々勉強しています。


人の「健康」の仕

組みは、巧で、非常に複雑で、科学が発達した現代医学においても未知な世界にあります。


以下に、最新の科学知見をご紹介します。


 


98%の日本人が「ビタミンD不足」に該当 国内初の基準値を公表

植物由来のビタミンDはほぼ検出されず




研究の背景


 東京慈恵会医科大学臨床検査医学講座越智小枝教授・整形外科学講座斎藤充教授らは、島津製作所と新開発の液体クロマトグラフィー・質量分析法(LC-MS/MS)システムを使用して、2019年4月から2020年3月までの期間に東京都内で健康診断を受けた5,518人を対象に調査を実施し、98%がビタミンD不足に該当していたことを明らかにしました。


 ビタミンDは骨粗しょう症だけでなく感染症や心血管疾患や神経筋疾患、自己免疫疾患発症にも関連すると言われており、COVID-19の重症化因子としても注目される重要な栄養素です。


世界的にもビタミンD不足・充足状態に対する関心が高まる一方で、この栄養素は必要基準範囲が完全に確立されていないことが課題となっていました。




研究の成果(ポイント)


1.新開発、完全自動化の液体クロマトグラフィー・質量分析法(LC-MS/MS)システムを

 使用し、日本で初めて血清中25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)Dの基準濃度を計算しま

 した。


2.算出した結果は、女性 7–30 ng/mL、男性5–27 ng/mL(全体6–29 ng/mL)と、健常人

 の98%が日本代謝内分泌学会・日本整形外科学会が提唱するビタミンD基準濃度(<30

 ng/mL)に達していないことが判明しました。


3.測定されたビタミンDのほとんどが動物あるいは日光由来のビタミンD3であり、シイタ

 ケなどの植物由来のビタミンD2はほぼ検出されませんでした。また、年齢が低いほど

 ビタミンD不足の割合が高くなりました。



 今回の研究結果から、日本人の食生活の変化によって、現代社会では特に植物由来のビタミンDが摂取されなくなったことが推察されます。


 今後の超高齢化社会へ向け、骨粗しょう症・骨折の予防につながるビタミンDの摂取はますます重要となっています。ビタミンDが不足している現状への早急な介入と共に、ビタミンD不足を引き起こすその他の原因についても解析が必要です。



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