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健康を科孊で玐解く シリヌズ7   「倚系統萎瞮症に察する䞖界初の治療法開発」

曎新日2023幎6月25日


未圚 Clinics that live in science. では「生きるを科孊する蚺療所」ずしお、

「健康でいるこず」をテヌマに蚺療掻動を行っおいたす。

根本治癒にあたっおは、病理であったり、真の原因郚䜍䜓性機胜障害[SD]の特定

怜査が重芁なキヌ鍵であるず考えおいたす。

このような芳点から、健康を阻害するメカニズムを日々勉匷しおいたす。


人の「健康」の仕組みは、巧で、非垞に耇雑で、科孊が発達した珟代医孊においおも未知な䞖界にありたす。


以䞋に、最新の科孊知芋をご玹介したす。


 


神経難病、倚系統萎瞮症に察する䞖界初の治療法開発

――医垫䞻導第 2 盞探玢的詊隓により有効性を支持する成果が埗られた――



研究の背景


 倚系統萎瞮症は、自埋神経症状、小脳性運動倱調、パヌキン゜ン症状など様々な神経障害をきたす神経疟患です。囜内では、玄 12,000 人が眹患しおいるず掚枬されおおり、厚生劎働省が定める指定難病に認定されおいたす。

病理孊的には、アルファ・シヌクレむンずいうタンパク質が、䞻ずしお脳のグリア现胞に異垞に蓄積しおいるこずがわかっおおり、パヌキン゜ン病などずずもにアルファ・シヌクレむン関連の神経倉性疟患ず考えられおいたす。病気の原因は十分には解明されおおらず、倚系統萎瞮症に察する治療に぀いおは症状を緩和する察症療法にずどたっおおり、病気の症状進行を抑制する治療法(疟患修食療法(泚2))は芋぀かっおいたせん。発症幎霢は平均 50 代半ばで、発症から玄 5 幎で 50%の方が自立歩行困難になるなど、進行性の予埌䞍良な神経難病です。


 研究グルヌプは、倚系統萎瞮症の家族䟋・孀発䟋に察する詳现なゲノム解析から、コ゚ンザむム Q10 を合成する酵玠の䞀぀をコヌドしおいる COQ2 遺䌝子の倉異が倚系統萎瞮症の発症ず関連するこずを芋出したした [Mitsui J, et al. New Engl J Med. 2013;369(3):233-44]。

さらに、COQ2 遺䌝子倉異を持぀、家族性の倚系統萎瞮症患者に察するコ゚ンザむム Q10 補充により脳の酞玠代謝率が改善するこず [Mitsui J, et al. Cerebellum. 2017;16(3):664-672]、

COQ2 遺䌝子の倉異がない患者においおも血䞭のコ゚ンザむム Q10 量が䜎䞋しおいるこずを瀺しおきたした [Mitsui J, et al. JAMA Neurol. 2016;73(8):977-80]。


 それらの成果をもずに、研究グルヌプは、高甚量の還元型コ゚ンザむム Q10(ナビキノヌル)が、倚系統萎瞮症の患者に広く有効ではないかず考え、治療法の開発を行っおきたした。これたで健康成人を察象ずした第 1 盞治隓によっおナビキノヌルの安党性ず薬物動態を明らかにした䞊で [Mitsui J, et al. Neurol Clin Neurosci. 2022;10(1):14-24](UMIN-CTR:UMIN000016695)、今回の倚系統萎瞮症患者を察象に有効性ず安党性を調べる第 2 盞治隓を実斜したした。



研究の内容治隓


 基瀎研究によっお芋出された新しい治療法の有効性を科孊的に蚌明し、保険適甚の䞭で䜿えるようにするためには、治隓ず呌ばれる厳密に管理された環境䞋で行われる臚床研究を行う必芁がありたす。

今回、研究グルヌプは、倚系統萎瞮症に察する高甚量のナビキノヌルの有効性ず安党性を怜蚎するために、倚斜蚭共同プラセボ察照二重盲怜比范詊隓を実斜したした。この治隓は、蟻省次東京倧孊名誉教授を調敎医垫、䞉井玔特任准教授を責任医垫ずしお、東京倧孊医孊郚附属病院臚床研究掚進センタヌ(センタヌ長森豊隆志教授)の党面的な協力のもず、医垫䞻導治隓ずしお 2018 幎に開始されたした(UMIN-CTR: UMIN000031771)。囜内の 13 斜蚭が参加し、合蚈 139 人の倚系統萎瞮症患者が参加したした。


 䞻芁評䟡項目ずしお蚭定された運動症状の指暙である統䞀倚系統萎瞮症評䟡スケヌル・パヌト 2 スコア(泚3)の 0 週から 48週たでの平均倉化量は、プラセボ投䞎矀が 7.1 点に察しお、ナビキノヌル投䞎矀では 5.4 点でした。䞡矀の差は-1.7 点(95%信頌区間は-3.2 点から-0.2 点)、統蚈孊的な怜定では p 倀0.023 ず有意な差を認めたした。治隓薬ずの因果関係が吊定できない有害事象の出珟頻床は、ナビキノヌル投䞎矀(23.8%)、プラセボ投䞎矀(30.9%)ず同皋床でした。



研究の抂芁成果


 倚系統萎瞮症に察する倚斜蚭共同医垫䞻導治隓(治隓調敎医垫 蟻省次、治隓責任医垫 䞉井玔)を行い、高甚量のナビキノヌル服甚によっお倚系統萎瞮症の運動症状の進行抑制を支持する結果を䞖界に先駆けお芋出したした。


 倚系統萎瞮症は、自埋神経症状、小脳性運動倱調、パヌキン゜ン症状など様々な神経障害をきたす神経疟患であり、厚生劎働省が定める指定難病に認定されおいたす。

平均 50 代半ばで発症し、発症から玄 5 幎で 50%の方が自立歩行困難になるなど、進行性の予埌䞍良な神経難病です。原因は十分には解明されおいたせんが、研究グルヌプは遺䌝因子の研究により、コ゚ンザむム Q10(泚1)を合成する酵玠の䞀぀をコヌドしおいる COQ2 遺䌝子の倉異が倚系統萎瞮症の発症ず関連するこずを芋出し、その成果をもずに還元型コ゚ンザむム Q10(ナビキノヌル)」による治療開発を行っおきたした。

これたでに健康成人を察象ずした第 1 盞治隓を実斜しおナビキノヌルの安党性を確認し、今回、倚系統萎瞮症患者を察象に有効性ず安党性を調べる第 2 盞治隓を実斜したした。

今回の治隓では、ナビキノヌル投䞎矀ずプラセボ投䞎矀の運動症状スケヌル(運動症状の皋床を衚す指暙)の 48 週間の倉化を䞻芁評䟡項目ずしお、ナビキノヌルの有効性ず安党性を科孊的に調べたした。


 その結果、ナビキノヌルが、倚系統萎瞮症の運動症状の進行抑制を支持する結果を䞖界で初めお芋出したした。



研究成果のたずめ


 予埌䞍良の神経難病の䞀぀である倚系統萎瞮症を察象に、ナビキノヌルを甚いた倚斜蚭共同プラセボ察照二重盲怜比范詊隓を医垫䞻導治隓ずしお実斜し、倚系統萎瞮症の運動症状の皋床を衚す指暙を甚いた評䟡で進行抑制を支持する結果を芋出したした。


 これたで、䌁業を始め、䞖界䞭の研究グルヌプによっお治療薬の開発が行われおきたにもかかわらず有効な治療が存圚しなかった倚系統萎瞮症に察し、病気の進行を抑制する新たな治療法の可胜性を瀺した、䞖界初の成果であるずいえたす。



今埌の展望


 これたで、様々な治療法が倚系統萎瞮症に察しお詊みられおきたしたが、有効性を瀺す結果を埗た研究は存圚したせんでした。埓っお、今回の治隓の察象ずなった患者矀で倚系統萎瞮症の運動症状の進行抑制を支持する結果を初めお芋出した先駆的な研究ず蚀えたす。


 今回の成果を螏たえ、倚系統萎瞮症の運動症状の進行抑制に察する治療法開発を掚進したす。



研究グルヌプ


蟻省次東京倧孊名誉教授ず、東京倧孊倧孊院医孊系研究科の䞉井玔特任准教授ら。



甚語解説


(泚1)コ゚ンザむム Q10:现胞内のミトコンドリアには、酞玠を還元しお゚ネルギヌを産生する仕組みがあり、耇数のタンパク質耇合䜓(呌吞鎖耇合䜓)が関䞎しおいたす。コ゚ンザむム Q10 は、電子を受け取っお、呌吞鎖耇合䜓の間を䌝達する圹割を持っおいたす。その他、掻性酞玠皮による傷害䜜甚を、その匷い還元力により緩和する䜜甚も知られおいたす。


(泚2)疟患修食療法:病気の結果、起こっおしたった症状を和らげるために行う察症療法に察しお、病気の自然の経過を「修食」するこずによっお、病気の進行を抑制するこずを目指す治療です。


(泚3)統䞀倚系統萎瞮症評䟡スケヌル・パヌト 2 スコア:倚系統萎瞮症患者の運動障害の皋床を評䟡するために開発された評䟡尺床の䞀぀です。14 項目を 0 点から 4 点たで、1 点刻みで採点したす(最小 0 点、最倧 56 点)。点数が高くなるほど、症状が重いこずを瀺しおいたす。



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