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生き生きとした障害者

リハビリテーションとは

リハビリテーションの定義(世界保健機関:WHO)

「リハビリテーションとは能力低下の場合に機能的能力が可能な限り最高の水準に達するように個人を訓練あるいは再訓練するため、医学的・社会的・職業的手段を併せ、かつ調整して用いること」WHO/1968年

と、定義されています。一般的には『全人間的復権』と訳されることが多いです。

 私達理学療法士にあっては「病気や怪我により生じてしまった不自由(障害)に対して、元の生活に戻れるように支援する、障害を持っていてもその人らしい生活ができるように支援する」ことが、「リハビリテーション」と解釈・認識されています。

​ よって「リハビリテーション」という言葉は「概念」「理念」を示す言葉であり、「具現策」「方法」とは異なります。

リハビリテーションの具現策は?

 「リハビリテーション」は、リハビリテーション専門職のみが行うものではなく、多職種が連携して関わり、対象者の生活を支援していくことの「総称」です。

 多職種とは、医師・看護師・介護福祉士・介護支援専門員・医療相談員・栄養士・薬剤師・義肢装具士・歯科衛生士・・・そして理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが関わります。

 様々な職種が、対象となる患者さん・ご家族の安心と安全を確保し、ニーズに応えていくこと。これがリハビリテーションにはとても重要な事項となります。

 様々な病気や怪我で、今まで行えていたことができなくなった状態が「障害」となります。

 人それぞれに症状や障害は異なり、「心身機能」「日常生活」「個人の問題」「環境の問題」に影響を及ぼします。患者さんが望むこれからの生活の在り方にあって、どの項目では、どのような問題があるのか、それに対するNeedは何か、Hopeを伺い、予後予測を踏まえ、以下に記す内容を提供し進めていきます。

「リハビリテーション専門職」が関わる具体的な支援内容としては、以下の通りです。

​  1. 機能回復訓練(失われた身体機能や筋力を回復させる、神経筋促通訓練や筋力強化訓練など).

  2. 残存機能を活かした動作方法の指導(動かせる部分の身体を使って、生活行為動作の練習をするなど).

 

  3. 日常生活動作訓練(食事・排泄・入浴・更衣・整容など身の回りのことを自立して行えるようにする).

  4. 障害受容過程や精神面のフォロー(心のケアも含む).

  5. 復職支援(病前・受傷前の仕事に戻れるような訓練や環境調整、新たな仕事を行うための訓練など).

  6. 福祉用具の選定(安全に生活をするため、出来ないことを出来るようにするための福祉用具の提案など).

  7. 社会資源の提案(必要なサービスの提案や調整など).

  8. 自主トレーニング・自己管理方法の指導.

  9. ご自宅の家屋改修の提案.

​10. 他.

関節可動域運動
作業療法

リハビリテーションに関わる「関連職種」の方々への指導内容としては、以下の通りが行われます。

1. 介助方法指導.

2. 安全安心に生活するための注意点指導.

3. ご自宅の家屋改修の提案.

4. 他.

 上述でお解りかと存じますが、支援内容や訓練内容に関しては、対象となる方お一人お一人異なってきます。同じ病気でも「年齢・性別」「身長」「体重」を始め、「障害の程度」「それまで歩んできた人生(観)」「ご自宅の環境」を始めとした「対象者を取り巻くすべての環境」など、様々な要因によって異なります。

 リハビリテーションは、”お一人お一人の生活、気持ちに沿った具現策が提供されること”が重要だと考えます。そのためには、リハビリテーション専門職はお一人お一人の「問題点」抽出能力(評価能力)を高めなければならないと言えます。「問題点」が判ることにより、具現策が自ずと決まってくる訳ですから。よって、上記の内容はごく一部の紹介に過ぎません。

リハビリテーションの様々な分野・病期

1. 身体障害領域(様々な病気、骨折等による怪我など).

2. 精神障害領域(精神疾患など).

3. 発達障害領域(小児や先天性の疾患など).

4. 老年期領域(高齢者や地域、老人保健施設など). の、4つに大別されます。

 私が理学療法士養成校時代には以上のように習いました。しかし現代にあっては分野項目は増加しているのが現状です。疾病疾患、加齢などに関する範囲から、より社会、経済分野へと拡大しています(例:スポーツ分野、産業分野、行政分野、他)。

病期:各疾病疾患において、病に対する治療経過を各時期に分類したものです。

1. 予防期(病気や怪我になる前に、健康を維持する時期).

2. 急性期(発症、受傷直後 生命の維持に関わる時期).

3. 回復期(病気・怪我によって失われた心身機能を改善させていく時期).

4. 生活期(回復期を経て在宅や地域に復帰し、環境に適応していく時期).※維持期とも言われます。

5. 終末期(残された余生をその人なりに過ごし、最期を迎えられるよう支援する時期).

各分野/病期にて幾分捉え方が異なる面がありますが、それぞれで最終的な目標になるのは、お一人お一人らしい「QOL(Quality Of Life:生活の質)の向上」となります。

お一人お一人に沿った「リハビリテーション目標」を設定し、多職種と連携しながら、対象者と一緒にリハビリテーションを進めていくために、リハビリテーション専門職(理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST))が頑張っています。

まとめ

1. 「リハビリテーション」とは、「全人間的復権」を示す。

2. リハビリテーションは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が中心となり、対象者/ご家族が望む生活に

    向かって(目標)、多職種と連携し進めていく。

3. リハビリテーションは対象者の抱える「問題点」によって、具現策が導き出される。

4. リハビリテーションは、「病期」や「分野」により幅広い職域があり、拡大し続けている。

5. リハビリテーションの最終的な目標は「QOLの向上」に総括される。

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