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自然の美

​身体からのメッセージ

心や身体の中(内界)で起きている病変は、さまざま形で外界に表出されています。

心理的言動、現象行動(動作拙劣)を始め、身近な視点では「表情」「言葉」「苦痛」「痺れ」「震え」「皮膚」「体温」「血圧」…などのサインがあります。

診療を通じて経験した、「身体からのメーセッジ」を症例紹介いたします。

貴方の悩みや苦痛に、解決の一助になれば、幸いです。

「組織の動き/硬さで教えてくれた方」Episode 2

疲労は「疲れ」とも表現され、痛みや発熱と同様に「これ以上、運動や仕事などの作業を続けると身体に害が及びますよ」という「人間の生体における警報のひとつ」です。疲労は、人間が生命を維持するために身体の状態や機能を一定に保とうとする恒常性(ホメオスタシス)のひとつとして、痛みや発熱などと並んでそれ以上の活動を制限するサインとして働いています。

疲労は、心身への過負荷により生じた「活動能力の低下」のことを言います。

症状としては、1)思考能力の低下 2)刺激に対する反応の低下 3)注意力の低下 4)注意散漫 5)動作緩慢 6)行動量の低下 7)眼のかすみ 8)頭痛 9)肩こり 10)腰痛などが出現します。

疲労の原因として、以下のことが言われています。

1)自律神経の中枢部では、身体の器官や組織の調節を行い、絶えず生命維持のための身体機能を一定に保っています。運動時には、運動強度や体調に応じて呼吸や心拍、体温などの機能の調節を行っており、身体へかかる負荷に合わせて生体機能のコントロールを行う自律神経の中枢も働き続けます。運動によって体にかかる負荷が大きくなるほど、自律神経の中枢にかかる負荷も大きくなり、自律神経の中枢がある脳がダメージを受けることで疲労が起こるとされています。

2)疲労を起こすのは活性酸素による酸化ストレスで、神経細胞が破壊されるからであると考えられています。運動などのエネルギーをたくさん使う活動では、酸素が多く消費されるとともに活性酸素も多量に発生します。活性酸素が発生すると、活性酸素を分解して体内から除去する抗酸化酵素が働くようになっていますが、発生する活性酸素の量が抗酸化酵素の働きを上回ると自律神経の細胞や筋肉が活性酸素によって攻撃されて疲労へとつながります。

3)加齢や紫外線を浴びることは活性酸素の影響を受けやすくなるため、疲労が起こりやすくなります。睡眠障害や睡眠時無呼吸症候群も疲労を蓄積させる原因となることが言われています。

今回、右臀部大腿部痛を発症し、その後、痛みが仙骨両外側部痛へ移行を伴い、活動量の低下、マイナス思考に陥った方の、「身体からのメッセージ」を傾聴させていただきました。

身体の浅筋膜傾聴、身体の階層性フィールド傾聴、にて右下腿を示してくれ、構造モビリティ検査で「右遠位/近位脛腓関節」「右中間楔状骨位置」「右中間楔状骨第2中足骨関節」のオステオパシー病変(体性機能障害)を教えてくれました。

1回の治療(直後)で、痛み寛解、「スッキリした」と笑顔に変化、立った時「あれっ、右足が軽い」と、お悩みの「痛み」「活動志向」「精神活動」症状は寛解されていました。

​まさか、疲労の原因、痛みの原因が、このような部位にあったとは…

「組織の動き/硬さで教えてくれた方」Episode 1

変形性膝関節症(O脚変形).jpg

​(兵庫県医療大学 掲載写真 引用

​変形性膝関節症を患い、痛みにより歩くことが大変なっている方は多いです。変形性膝関節症には「内反膝:O脚」「外反膝:X脚」と大別されます。O脚の方が多い傾向にあります。

​今回、「内反膝:O脚」(左写真参照)を呈し、歩行時、左膝関節に運動時痛が発痛し、移動が大変となり、日常生活活動の狭小化に悩む方の「身体からのメッセージ」を傾聴させていただきました。

概要:「変形性膝関節症は、筋力低下、加齢、肥満などのきっかけにより膝関節の機能が低下して、軟骨や半月板のかみ合わせが緩んだり変形や断裂を起こし、多くが炎症による関節液の過剰滞留があり、痛みを伴う病気である。膝関節のクッションの役目を果たす膝軟骨や半月板が長期間に少しずつすり減り変形することで起こるもの(一次性)と、関節リウマチや膝のケガなどの他の原因によって引き起こされるもの(二次性)の2種類がある。」

(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用)

現代(西洋)医学においては、まさに上述の通りにあります。

今患者さんは、変形が大きく、膝人工関節置換術適応状態にありました。

上述の身体状態を踏まえながら、身体の傾聴(検査)を行っていくと…

①頸椎胸椎の捻じれ ②(肋椎関節)胸郭の捻じれ ③左股関節に捻じれ ④左半月板の硬さ ⑤左下腿骨間膜の硬さ ⑥左遠位脛腓関節離開 ⑦左距骨の硬さ ⑧左足根骨の歪

を教えてくれました。

​2回目の治療後には、主感レベルで「痛み緩和」を自覚、左足(脚)をつく時間も延長化、歩行速度も向上改善が観られていました。

「ティッシュフィールドで教えてくれた方」

自然に同調し傾聴域を拡大

- 未在からの一望 -

​(イメージ画:広域に傾聴域を拡大して)

かれこれ8年くらい前のこと。 S.A.T.(SPECIFIC ADJUSTING TECHNIQUE)技術を学んだ。脊椎、仙骨のアジャストテクニックではあるが、単に位置病変を調整する技術ではなく、深いスピリットを有するアプローチであった。

 

そこで「ティッシュフィールド(組織分野)の傾聴」を学ぶ。

非常に神秘的に思われるかも知れませんが…

私自身が瞑想状態に入り、患者さんに触れている私自身を外から観ながら、傾聴域をその場の部屋から屋外、街、山々、海と広げ、その中で患者さんの身体の組織に意識を向け、浅層組織から階層的に(脊椎→軟部組織→筋膜→内臓→神経系→一次呼吸→エネルギー)深層へ傾聴し、患者さんが今、使っている組織フィールドを感じ、さらに「密度の濃い」組織へ入り、それから主たる組織フィールドへ戻り、全身スキャンし支点となる、パワーの集まる部分を傾聴し、そこを両手でホールドしリリース(解放)する。といったもので、「どのレベルの組織にアジャストするか」「アジャストする準備はできているのか」を診ることが問われる崇高な傾聴と治療の技術であった。

まさに自然と同調し、患者さんの頭の天辺から生体エネルギーの流れが身体を覆っているのを感じるような異次元の世界であった。

現在は、この傾聴、治療技術を用いることはない。何故ならば、オステオパシー病変が何処にも見当たらない場合に、用いると学んでいたからである。

8年くらい前に、当時の私の技量ではオステオパシー病変が見当たらなかった方がおり、その方に傾聴を行ったことがある。その方とは信頼関係もできており(準備ができており)、患者さんの組織は病変フィールドと部位を教えてくれました。

記憶が定かではありませんが、「胸腰椎から右大腿骨にかえての骨膜」を教えてくれていたと思います。

「ソマトエモーショナルが傾聴された方」

右肘頭にソマトエモーショナルが診られた方

​(イメージ画)

オステオパシーの用語で「ソマトエモーショナル」という言葉があります。 日本語だと「体性-感情」となると思います。 身体にある滞り・こわばり・固着を緩めることで、感情の解放が起ることです。

例えば、事故のショックです。 身体に加わるショックと同時に、感情的・精神的なショックも加わり心的外傷となります。

逆に、感情的・精神的な問題が、身体に現れてくるものがあります。そして、その部位がオステオパシー病変として他の部位に痛みが発症する場合が多々診られます。

何度か、治療させていただいている方で、今回は左股関節周囲痛のご相談で来院いただきました。今回も「オステオパシーメカニカルリンク」技術で全身傾聴させていただきました。

一次病変:「右肘頭骨内力線」「左右の遠位橈尺関節離開」「左上腕骨中間力線」「左股関節」「左大腿骨骨内病変」「右大腿骨内側力線」「左大腿骨中間力線」「左右の遠位脛腓関節離開」「右中足骨基底部」が観られ…

優先病変:「右肘頭骨内力線」「左股関節」となり…

オステオパシー病変:「左股関節」を治療しています。

しかし、検出された病変がすべて消失せず、2度目の抑制バランステストの結果、「右肘頭骨内力線」を治療し、今回検出された病変はすべて消失し、左股関節部の痛みも寛解、表情は明るくなっていました。

「オステオパシーメカニカルリンク」においては、肘肘頭部の病変はエモーショナル(感情)の表出部位と観られており、今回の右部は「心配」と言われている部位にあります。

「転移性悪性腫瘍を患った方」

癌細胞凝縮塊の傾聴イメージ画

​(イメージ画:傾聴し感じた組織の状態の類似画)

3年くらい前のことです。

肺悪性腫瘍手術後、胸髄に悪性腫瘍が転移された方で、在宅での療養生活を希望され、訪問リハビリテーションにて「がんリハビリテーション(理学療法)」をご利用に至った方でした。

下半身は半身不随状態で、ADLはほぼ寝たきり状態にありました。リハビリテーションHopeは、トイレ動作における移乗動作介助量軽減、通院時の車乗車のための移乗介助量軽減、そして下肢の痛みの緩和でした。

疼痛に対しては、強めの鎮痛薬が処方されていましたが、鎮痛効果は日を経過するごとに弱くなっていきました。

​ご本人に説明し、承諾をいただき、理学療法とともにオステオパシー治療をさせていただくことになり、身体の内部を傾聴させていただきました。

頭蓋からの傾聴技術で診ていくと、診断の通りの胸椎高位辺りの、やや左側背側の方に、硬いものが感じられてきました。傾聴を深めていくと、暗闇の中に塊のようなものが浮き出てきました(左イメージ画に類似するような感じ)。

「理学療法士 等から、足首は拘縮しています。と言われていた方」

偽拘縮の原因は骨膜にあった

主訴:「右の膝がガクッとして、痛いんです」

視診すると、両ひざ関節ともに屈曲(曲がった)状態で、伸展制限(伸ばせない)にありました。特に右膝関節は脛骨が屈曲/内転/外旋(変形性膝関節症状態)にありました。よって、歩行中に膝折れ現象が出現したのではないか?と質問しましたが、それは無かったと回答されました。

また、右足部は下垂足様にあり、可動域検査では常に底屈状態でわずかに背屈方向に動く範囲がありました。よって、歩行観察では図の赤丸で示した状態で地面に足をつき非常に不安定な状態でした。質問すると、やはり頻繁に転倒されているとのことでした。

介護サービス事業所の理学療法士 等からは、「拘縮(完全に固まっている)」と言われ、諦めていたようです。

何故、そのような状態になったのかは、ご本人は解らないと話されていました。

​まずは主訴に対して、右膝関節の構造的問題、力学的問題を考察し、右大腿骨/脛骨/腓骨の骨膜開放を試み、膝関節内の構造的問題の解決ができました。主訴に対しては、「痛いのが無くなりました」との主感をいただき解決しましたが、足関節の拘縮が気になり、右足関節の骨膜に対しても治療を試みました。結果、右足関節は背屈方向にも動くようになり、関節可動域はほぼ正常域に改善が観られました。よって「拘縮」ではなく「偽拘縮」であったようです。

可動域は改善されましたが、歩行時のつま先からの接地に改善は見られず、つま先から接地して、その後、足底、踵と接地する状態で帰宅されました。

偽拘縮状態になる経過には、腓骨神経麻痺などの障害があったのかも知れません。​

「拘縮」と言った理学療法士 等が可動域の改善に気付き、装具療法等を主治医に上申してくれればと思った症例でした。

「身体は奥からジンジンする」

定期メンテナンスの重要性

新年初の患者さんが、治療を受けに来てくれました。

久しぶりにお目にかかる方で、黄色靭帯骨化症を患い胸椎椎弓切除術後、(以前に)訪問リハビリで自宅へ伺っていた方でした。

日常生活動作に変化は観られませんでしたが、表現するには難しいと話しながら、身体の不調感に悩んでおられました。

ご本人:「どうも体調が好くないんだよ」「身体は奥からジンジンするような感じで」「脚の痺れは強くなってるし、重い感じもしてる」

​この方は、胸椎1~3番高位の黄色靭帯骨化症の診断を受け、椎弓切除術を受けられたのですが…、ご本人から伺ったことには、手術で何かしら(脊髄が傷ついた?)があったと話されていた方でした。

「身体は奥からジンジンする」がオステオパシー病変のメタファー(比喩)のキー言語と捉え、メカニカルリンクで骨関節/骨内力線/関節離開を整え、足根骨の歪を開放し、頭蓋仙骨療法で蝶形骨の動きを整えた上で、脳脊髄液の流動を促しました。

​結果(治療後)、「身体が楽になった」「辛く感じてたものが消えた」と有難い感想をいただきました。

​そして最後に、「身体を診てもらったのは久しぶりだもんな」「定期的に診てもらった方がいいよな」と定期的な治療の大切さに気付かれた様子でした。

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